pixiv事務局です。
2019年9月6日(金)~2020年1月31日(金) まで開催された「太田エロティック・マンガ賞2019下半期」の結果を発表します。
2000年にスタートした「太田エロティック・マンガ賞」は、エロティシズムをベースに、独創的、刺激的、官能的な作品を募集してきました。審査委員長の山本直樹さんが、すべての作品を読み、厳しく温かく選評しています。
多数の力作の中から、厳正なる審査の結果、受賞の栄冠に輝いた作品を発表します。
■エロティクス賞(1名)
賞品:賞金10万円、pixivコミックへ掲載、太田出版編集部の担当がつき連載・書籍化を検討

「
苦楽外(くらげ)」 /
zngo さん
山本直樹先生からの講評
ずば抜けて自分の世界が出来ていました。エロスという観点とは少し違うかもしれませんが、絵もうまく幻想文学的な味わいも素晴らしくて、文句のつけようがないと思います。もしかしてプロ経験ある人なのかな。今回同時に応募されていた『婆偶』のほうが、もしかしたらこの人本来の作風かもしれないけれど、その持ち味が出すぎていて、入っていける読者が少ないかもしれないと感じました。こっちはもう少し門戸が広いような気がする。同じく同時応募だった『大雨小歌』はわりとスケッチ的な感じで、僕も含めてそれが大好きな人はいますけど、作品としてバランスが良いのはやはり『苦楽外』だと思います。
■優秀賞(1名)
賞品:賞金5万円、太田出版編集部の担当がつき連載・書籍化を検討

「
ランデブー」 /
上田たんぽぽ
さん
山本直樹先生からの講評
不思議な世界を描こうとする人はたくさんいますが、実際にこのように描ける人はなかなか少ないです。エロさもちゃんとあって、男の子も女の子も生き生きと動いてる。作中でキャラクターの気持ちがちゃんと動いているのが伝わるというのはそれ自体で素晴らしいことです。終わり方もかっこよかったです。ゴトウユキコさんっぽい世界も感じさせつつ、しっかりと独自の世界を持っていると思います。絵もざっくり描いているようでうまいですし、作品の雰囲気とばっちり合っていました。
■奨励賞(3名)
賞品:賞金3万円

「
睡蓮華」 /
いからしひなこ さん
山本直樹先生からの講評
自分の間で描けていますし、お話のリズムやテンポに合わせてページが進んでいくのが読んでいて気持ちよかったです。必ずしもエロがメインではないけれど、しっかりと人物の気持ちが描けているのも素晴らしい。この何気ない内容で41ページは多いと思われやすいかもしれないけれど、ちゃんと空気感が出ていて、この漫画に必要なページ数だった気がします。最後、雪の中に蓮華だけっていうのもうまいなと思いました。好きな世界です。

「
ゲスの極み家族」 /
熊と翼 さん
山本直樹先生からの講評
絶望的だけどどこか明るい。作者の実体験かと思わされる迫力があります。これが想像だとしたらそれもすごいですけど。同時応募作『ショートエログラム』も、短いなりにまとまっていて良いと思いました。でもこの作品くらい長いほうが読みでがある。ただ絵の方が、言わば本番とラフが半々くらいの完成度なので、次はよりしっかりと仕上がったものを読んでみたいです。

「
美大予備校生の苦悩」 /
海岸亭 さん
山本直樹先生からの講評
お話に勢いがあって、作中世界をしっかり描けていました。それだけでいいですよね。主人公も相手の女の子もちゃんと生きて動いている。終わり方も安易なハッピーエンドにするでもなく、無理やりどん底に行くでもなく。キャラふたりとも美大予備校生活がずっと続いていくと察せられるところがいいと思いました。
山本直樹先生からの総評
今回は全体的にレベルが高く、大賞と優秀賞をどれにしようか迷ったのは初めてですし、本当なら奨励賞を20本出したいくらいだったし、講評した以外にも光る作品は多々ありました。その中で大賞を獲得したzngoさんと優秀賞の上田さんの評価には、実際あまり差がありませんでした。奨励賞の3名も含めてみなさん個性を十分持っている人たちなので、細かくどうこう言うことはありません。とにかく描き続けてください。どんどん行っちゃってください。
残念だったのはネームの字が小さく読みづらい作品があったことかな。好きな長さにできるのがWeb投稿の良い点だと思うので。ストーリーやネームの量に合わせてページ数を変えるのも一つの手でしょう。あと最近の傾向として近親相姦ネタが多いですね。ドラマチックなお話にしやすいように見えますが、ショックが続くとお話が平板になってしまいます。
漫画を描いていると、読者に対してだけじゃなく描いてる自分すらも「こんなはずじゃなかった……!」っていう良い意味の裏切りが顔を出す時があるんです。そこを逃さず首根っこを捕まえると、もっとお話が面白くなるはずです。
また今回、惜しくも選外となった作品に関しまして、いくつか山本直樹先生よりご講評いただきました。あわせて掲載いたします。
「
心と体」 /
kaka さん
山本直樹先生からの講評
起承転結がはっきりあるようなお話ではないけれど、女の子がちゃんと描けていますし、雰囲気も良かったです。長いお話が読みたい気持ちになりました。次回は長編に挑戦してみてほしいですね。
「
アリスオブワンダー」 /
ふぶきあおい さん
山本直樹先生からの講評
絵柄が特徴的でかわいいですし、描き方をしっかりと自分のものにされていますね。小さい女の子ものというありがちな話ではあるけれどちゃんとエロく描けていてよかったです。
「
多角的青春」 /
梓義朗 さん
山本直樹先生からの講評
女の子の描き方がとても好きです。そして独特で良い絵柄だと思います。女の子が増えるという設定が多少唐突ではあるけれど、それを見せてしまえる漫画力と絵力がありました。
「
KAWAII Mange Paris」 /
オムラ・オム さん
山本直樹先生からの講評
ぶっ飛んでますね。すごいです。ただ、ぶっ飛んだ設定一発で通すのは、よほどうまく作品と自分の世界観にハマらないと難しいんじゃないでしょうか。どんどん描いて、いっぱい失敗して経験を積んでください。
「
ひとなつのけいけん」 /
kumanma さん
山本直樹先生からの講評
甘酸っぱい系のありがちな話ではあるけど、淡いエッチみたいなものをちゃんと描けてて良いと思います。女の子の表情も良い。でも、もっと冒険できるのではないかとも思いました。漫画の流れが単調なところで損をしています。
「
無自覚に開発され発情体になったことを分からせる話」 /
むむむか さん
山本直樹先生からの講評
ネットでありがちな、男に都合のいいエロマンガですね。でもしっかりとエロいから成り立っている。エロマンガには「そんなこたぁ実際ねーよ」って部分があるわけですが、だからこそエロマンガ。そこが読者に簡単にばれないようにできるともっと良くなる思います。
「
本当のところ」 /
吉田 さん
山本直樹先生からの講評
エロでもないし、暗い話なんだけどベタの黒さがとてもかっこいい。絵のかっこよさで全然見せれる人です。何気ない系の話でもちゃんと漫画として成立させることができるだろうから、どんどん描いていってほしいです。
「
ノスタルジーの種」 /
日尾ねり さん
山本直樹先生からの講評
お話がちゃんと出来ていた分、何も起きなさすぎたのが残念でした。やはりお話のどこかで大きい裏切りが1個あると漫画として「読んだ!」という気持ちになれるので、この方の場合もそうなるとよいと思います。
「
カーネーション・レッド」 /
snowfish さん
山本直樹先生からの講評
とても暗い話でしたね。ありがちな話ではあるけど、絵がうまいし女の子はかわいくて、漫画として成立していました。良い意味で漫画を描き慣れてますね。お話作りはうまいけど、裏切りみたいなものもほしいです。
「
葉子の日記。」 /
川端あた さん
山本直樹先生からの講評
この方も自分の雰囲気をちゃんと持っていてそれを漫画に出来ています。ただ話運びが地味なので、どこかで転調する良いと思います。心の隅で「”裏切り”の瞬間が来るかも?」と思いながら描くとちょっと違うかもしれません。
みまもり園長 さん
山本直樹先生からの講評
2ページの漫画を大量に投稿としてきた人ですね。俺はこの人は見守りたいよ(笑)。人気の出そうなかわいい絵柄で、じつは今回唯一、絵を個人的にブックマークした人です。長編を描いたらもっとエロくなると思うので挑戦してみてほしい。題材は何でもいいし、お話が破綻したとしても描いてみるといいと思います。
受賞者のみなさんおめでとうございます。
たくさんのご応募、誠にありがとうございました。
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