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第2回 朝日ホラーコミック大賞 結果発表
2023年1月18日
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pixiv事務局です。

2022年8月3日(水)〜2022年10月31日(月) まで開催された「第2回 朝日ホラーコミック大賞」の結果を発表します。

「第2回 朝日ホラーコミック大賞」では、実体験をもとにした"リアルホラー作品"や、空想上のとびきり怖い話のマンガ作品、マンガ原作作品を募集しました。
審査委員長の伊藤潤二先生(漫画家)をはじめ、波津彬子先生(漫画家)、後藤博幸さん(「ほんとにあった怖い話」シリーズ (フジテレビ)プロデューサー)、馮年さん(東宝株式会社 映像本部 開発チームリーダー)の4名に、それぞれのプロフェッショナルの観点から作品を審査していただきました。

多数の力作の中から、厳正なる審査の結果、受賞の栄冠に輝いた作品を発表します。
審査員の皆さまからの選評もあわせて、ご覧ください。


■マンガ部門

■第2回 朝日ホラーコミック大賞(1名)
・賞金10万円
・隔月刊誌「HONKOWA」または「Nemuki+」へ掲載
・朝日新聞出版書籍編集部の担当が付き、連載を検討


「呪いは効くのでしょうか」 / 鳩ヶ森 さん

●伊藤潤二先生
 とてもよくまとまっていると思いました。読みやすく、引っかかる疑問点もありません。何気ない場面が伏線として効いているし、少々しつこいラストも呪いというテーマに合っていて効いていると思いました。ギャグもかなり効いていて笑ってしまいましたが、少々効き過ぎな気もしました。しかし、マイナスにはならないと思います。呪いが二重構造になっている構成も面白いと思いました。

●波津彬子先生
 面白い視点の作品でした。絵もお上手で画面も見やすく、ずっと雨が降っている演出も後で効いてくるのがいいです。応募作のほとんどが幽霊か化け物、異世界の話の中で、この作品はそのどれでもないところが目を引きました。どんでん返しから一気に不安を煽るラストまではいいと思いますが、前半が少しもたついている印象があるのですっきりさせたいですね。彼女の手紙の冒頭で文字ばかり追わせるのは読者が退屈します。ここで一気に手紙の世界観に引き込んで欲しいのです。手紙を読者にどう読ませるかの構成と主人公のリアクションが大事かと思います。特に主人公のリアクション、仕草は後の伏線にもなるので、うまく使うとより面白くなると思いました。

●後藤博幸さん
 冒頭のつかみから嫌な感じを匂わせたまま、ラストまでとても楽しめました。いろんな意味でよく出来ている作品でした。ただ、視点が散漫なのか、設定等のディテールが、読む人によって様々に捉えられる。別の言い方をすると、何度か読み返さないと設定が理解できない部分がありました。審査の場でも、そんな話になったのですが、私が捉え違いをしていた部分もありました。ただ、個人的には私が勘違いをしたパターンも面白いのではないかと思えるので、ざっとお伝えします。手紙の送り主、「記念品」のハイヒール、呪いが最後に繋がる。つまり、送り主の女性は自分の死を予感して、死後、絶妙なタイミングで手紙が田中に届くよう計算し尽くしていた壮絶な“復讐劇”パターンです。設定を組み直さなければならないところも出てきますが、こんなバージョンで実写化してみたいなと思いました。

●馮年さん
 物語として非常によくまとまっており、フリとオチも効いていて完成度が高いと思いました。必要以上に手を洗う、印象的な黒子などのディテールで、主人公の田中が猟奇殺人者だったと明かされていく描写は秀逸でした。せっかく呪いのメカニズムが序盤で提示されているので、そのメカニズムに則って田中が最後何らかのダメージを受けて「呪われた!」と思わせる展開がもう一つあると、なお良かったように思います。ストーリーテリングの巧さに加え、シャンプーハットとハイヒールの長襦袢の描写など細かい部分で笑える緩急もつけられており、今後が楽しみなクリエイターさんだと思います。



■優秀賞(2名)
・賞金1万円


「舐仏師」 / カワラベ さん

●伊藤潤二先生
 香木を舐める事によって、仏像の形になるという設定が面白いと思いました。古くはミケランジェロが彫刻について、「大理石の中にすでに存在している像を外に彫り出すだけ」というような事を言ったそうですが、舐めて仏像をあらわにするというのは作者のオリジナルなのだろうと思います。全裸の清い処女が舐めることによって仏が現れるというのはエロティックな要素も加わって面白いです。河原の坊主の「仏はどこにでもおる」というセリフも深みを感じさせます。終盤は難解ですね。



「君のことが知りたい」 / ノタリ カナ さん

●波津彬子先生
 ショートホラーとしていい出来だと思いました。ステレオタイプなホラーを逆手に取っているところが面白いです。絵もお上手で画面の見せ方もわかってらっしゃいます。ただ飽くまでショートだからできるオチですね。作者の方はストーリー性のあるものはどうでしょう? もしそういうものを描かれたら拝見したいです。それともショートにこだわりますか? そうならばネタとオチに磨きをかけて行ってください。ショートが積み上がるホラーの世界もとてもいいと思います。



■原作部門

■第2回 朝日ホラーコミック原作大賞(1名)
・賞金10万円
・受賞作品を原作としたコミカライズを制作
・隔月刊誌「HONKOWA」または「Nemuki+」へ掲載
・朝日新聞出版書籍編集部の担当が付き、連載を検討




「ストロベリーミルクゴースト」 / まさみ さん

●伊藤潤二先生
 都市伝説であるトイレの花子さんの発展型で、意外性のある設定が面白いと思います。時系列の関係で、登場人物の女生徒たちの学年の設定がやや複雑な気もしましたが、マイナス点にはならないかと思います。漫画原作ということで、シナリオ的な文章になっているので、何度か読み直さないと状況がわかりにくく、また、説明不足な点もあり、もったいない気がしました。しかし、キャラクター達が魅力的であり、漫画化すれば、『Nemuki+』にふさわしい作品になるであろうという点で、審査員の意見は一致しました。

●波津彬子先生
 原作賞なので漫画化することを前提に読みました。この作品は主役の二人の設定が面白いので、キャラを魅力的に描ければ学園怪談推理ものとしてシリーズ化もできそうだと思いました。最後に事件をちゃんと解決しているのもいいです。ただこの原作だけでは誰がどのセリフを言っているか途中でわからなくなり、事件もひねりがあってわかりづらいです。小説ではないので文体はこだわりませんが、画面が浮かぶような書き方を考えてみてください。主人公の魅力や事件の説得力は漫画化する人の力量にかかっていると思うのですが、その力を引き出すのも原作者です。がんばってください。

●後藤博幸さん
 漫画原作という観点で、サラと繭のキャラクターが圧倒的に引き立っており、他の候補作にはない不思議な魅力が詰まっている作品でした。大賞の理由はここに尽きると思います。ただ、純粋な読み物として捉えると課題は多いと感じました。冒頭からしばらく、誰と誰がどういう状況で話しているのかよくわからず、何度も前に戻り確認する、その連続でした。とは言え、『ストロベリーミルクゴースト』というタイトルが醸し出す期待感、魅力にあふれた2人のキャラクタ―、トイレの花子さんネタとそれにリンクする意外なオチなど、それを補って余りある熱量のこもった作品だったと思います。

●馮年さん
 これまで沢山擦られてきたであろう花子さんネタでどう新しさを出されるのか、興味津々で読み始めました。その結果、花子さんを被害者ではなく加害者として描いた真相部分での捻り方に脱帽致しました。何より、大人しい繭とギャルのサラのキャラクターが魅力的で、終盤でサラが少女の霊を喝破するくだりは痛快でした。願わくば、繭が幽霊になった真相と花子さんの話がもう少しリンクしているとより良かったように思います。今作に限らず、幽霊×ギャルという異色の女子高生コンビが様々な怪事件に挑むというシリーズに出来そうな点にも高いポテンシャルを感じました。




■優秀賞(3名)
・賞金1万円


「20歳の自分へ」 / 二条颯太 さん

●後藤博幸さん
 つかみは抜群でしたが、途中から尻すぼみ。もったいない。簡単に言うと、そんな印象を受けた作品でした。タイムカプセルを掘り起こした際に出てきた、赤井とその友人2人への、いじめられっ子からのまさかの“殺害予告”。これから展開されるであろう、いじめられっ子・五味による復讐劇を想像し期待は高まりました。直後、友人の1人・金久保が謎の自殺。ここまでは良かったと思います。ただ、もう一人の友人・青山が五味から包丁で殺される辺りから、それまではあまり気にならなかったディテール等が気になり始め、それがラストまで続きました。警察の無能さ加減もそうですが、どんどん追い詰められていく割には隙のあり過ぎる赤井、そして五味の行動原理も都合よくはぐらかされた感じがしました。と、ネガティブなことを言ってますが、個人的には大賞候補作品でした。



「悪名轟かせ」 / 二条颯太 さん

●後藤博幸さん
 設定がとてもユニークで、読み物として楽しめました。この物語は、斑鳩がどんな人物なのかによって色合いが大きく左右されると思います。そういった意味で、斑鳩のキャラクターが少し中途半端だったのではないでしょうか。もっとファンタジーに振るか、徹底的にリアルに寄せる。どちらもありですが、個人的には後者を実写で観てみたいと思いました。リアルに描く方が難易度は高いと思いますが、得体の知れない斑鳩の計画と行動を、描く部分とあえて描かない部分を計算し尽くし、巧みに伏線を張って、それを回収しつつ、背筋の凍るラストを迎える。抽象的な表現になってしまい申し訳ありませんが、自分ならこうする、ああすると、いろいろと考えさせられた作品でした。



「とある入り江にて」 / 榎や さん

●馮年さん
 カツオノエボシは馴染みの薄い題材ですが、検索してみると美しさと気持ち悪さの両方を携えており、上手い所を突いていらっしゃるなと感じました。カツオノエボシ(単体・群体)、海、月の光、蛍光など、実写で映像的な面白さを出せそうな切り口が沢山散りばめられていたのがとても良かったです。欲を言えば、最後にもう一つサプライズの展開と、主人公がどう知恵を絞ってカツオノエボシに対抗するのかが見たかったところですが、情景描写の細やかさと読ませる推進力が抜群に素晴らしく、シチュエーションスリラーとして非常にレベルが高い作品だと思い、推させて頂きました。



受賞者のみなさんおめでとうございます。
たくさんのご応募、誠にありがとうございました。

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